経済システムは人間の幸福度を最大化する方向へ変化する

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経済システムは人間の幸福度を最大化する方向へ変化していくと思っています。

 

この記事では、『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の内容を踏まえ、経済システムと幸福の関係性について考察していきます。

 

世の中の悲劇や不幸の多くは、悪人によって起こされるよりも、実際は、誤った仕組みが大規模に適用されることによって起きている方が多いのです。

  

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

 

 

資本主義は人間を幸せにしたか

 

まず初めに、「資本主義は人間を幸せにしたか?」ということについて考えていきたいと思います。

 

戦後、日本は高度経済成長を迎えましたが、それが幸福や満足をもたらしたわけではありませんでした。

 

下のグラフを見て下さい。一人当たりGDPが上昇しているにも関わらず、幸福度と生活満足度はほぼ横ばいです。

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参考:幸福度に関する研究会報告(2011)

このように経済成長が幸福に結びつかない現象は「幸福のパラドックス」と呼ばれています。これは、日本だけでなく他の先進諸国でも起こっている現象です。

 

では、なぜ経済成長は幸福に結びつかないのでしょうか?

 

それは、価値をやり取りするというお金本来の目的が見失われ、お金を増やすこと自体が目的化してしまったからです。

 

「お金」が社会の中心になるにつれ、価値をどう提供するかを考えるよりも、「お金」から「お金」を生み出す方法を考えたほうが効率的であることに、気づく人が出てきます。

 

資本主義において、「お金」は非常に重要なものであるため、こうなってしまうのは仕方がない面もあります。

 

こうして世の中には、「付加価値は低いが、多くのお金を生み出す仕事」が存在するようになりました。

 

すると、自分の仕事がどんな価値を与えられているのか分からない、実感できないという人が出てきます。

 

「自分の売っている金融商品は、本音を言うとおすすめできないが、顧客にそれを勧めている。でも、ノルマもあるし、生活のためにお金を稼がなければならない…」。

 

こういった理由で、しぶしぶその仕事をしているといった人もいるでしょう。

 

このようにお金を稼ぐために後ろめたさを感じながら仕事をしたり、嫌な仕事をしている人は世の中に一定数いると思います。

 

当然、このような状態は幸福とは言えません。

 

  • 価値を提供することではなく、お金を稼ぐこと自体が目的化しやすい
  • 収入は、生み出した価値に比例するとは限らない

 

これが、資本主義の「負の側面」です。

 

お金をたくさん稼ぐことで、生活に困ることはなくなるでしょう。しかし、人間はそれだけでは幸福感を感じられません。

 

マズローの欲求5段階説から考えると、お金を増やすことで満たされるのは、2段階目までの欲求が中心です。

 

高次の欲求を満たしていく上では、お金はあまり役に立ちません。

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「お金」を増やすことだけを目的として働いてきた人たちが、それを達成した瞬間、虚無感に襲われてしまうのはこのためです。

 

「資本主義」から「価値主義」へ

 

可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界。

 

本書では、これを「価値主義(valualism)」と呼んでいます。

 

そして、価値という言葉は、①有用性としての価値、②内面的な価値、③社会的な価値の3つに分類されると言います。

 

「役に立つか」という観点から考える「有用性としての価値」、愛情・共感・好意・信頼など、実生活に役に立つわけではないが、個人の内面にポジティブな影響を及ぼす「内面的な価値」、そして、社会全体の持続性を高める「社会的な価値」です。

 

資本主義の問題点はまさに①の有用性のみを価値として認識して、その他の2つの価値を無視してきた点にあります。 

 

既存の資本主義に多くの人が感じていたことは、「お金にはならないけど価値のあるものって存在するよね?」という点だと思います。

 

資本主義上のお金というものが現実世界の価値を正しく認識・評価できなくなっています。今後は、可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想されます。  

 

お金にはならないけど価値があるものが存在することは多くの人が理解しています。しかし、それらは目に見えないため、評価することが困難でした。

 

テクノロジーによって人間の内面的な価値が可視化されるようになると、私たちの欲しがるものが「お金」から「内面的な価値」へと変わっていくはずです。

 

今後は、そういった「価値」をどのようにして測るかが課題になるでしょう。

 

「お金」は盗めても「価値」は盗めない

 

 

「技術」だけでなく「経済システム」にも同様のことが言えます。

 

「お金」は盗むことができます。

 

強盗は、お金を稼ぐのが面倒臭いからその過程をショートカットしようとする行為であり、戦争は、簡単に言えばお金の奪い合いです。

 

そういったことが起こるのは、「お金」が人間の外側にあるものだからです。

 

しかし、「価値」は人間の内側にあるものであるため、盗むことは不可能です。

 

また、「お金」に価値があるかどうかを決めるのに、それを獲得するまでのプロセスは加味されません。

 

自分で稼いだ一万円でも、盗んだ一万円でも一万円分の買い物をすることができます。

 

なぜかと言うと、一万円札には一万円分の価値があるという共通認識があるからです。

 

しかし、「価値」はそれを得るまでのプロセスも含まれます。

 

あなたが起業に失敗したとしても、SNSなどを使ってその過程を情報発信すれば、共感や応援を生み、それが資本に変わるかもしれません。

  

あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する一つの選択肢に過ぎません。

 

他人から何かを奪おうとすることは、自分の価値を下げる行為です。

 

これまでは不当な方法でお金を稼ぐこともできましたが、今後はそういった行為をする意味自体がなくなっていきます。

 

経済システムの変化によって争いは減り、人間は倫理的に生きざるを得なくなるのです。

 

最後に

 

経済システムは時代の変化に合わせて最適化されていくでしょう。

 

最近、このようにお金の未来について考えることが増えました。

 

お金に関して多くの人の考えに触れ、お金と向き合っていく中で、これまで感じていた資本主義に対しての「違和感」が明らかになってきたように感じます。

 

資本主義が考える価値あるものと、世の中の人の考える価値あるものの間に大きな溝ができており、それが多くの人が違和感を持つ原因です。

 

冒頭の引用文に戻ります。

 

世の中の悲劇や不幸の多くは、悪人によって起こされるよりも、実際は、誤った仕組みが大規模に適用されることによって起きている方が多いのです。

 

「システムが人間の行動や倫理観をある程度規定する」ということはこれまでの自分にはなかった視点であり、世の中を面白くするためにこのような切り口もあるのだと気づくことができました。

 

人間の幸福度を最大化する経済システムの探求はこれからも続きます。

 

そして、経済システムを創ることにより、人間の幸福度の最大化に寄与していこうと思っています。

 

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

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